ナナイロのキセキ
「お先に・・・ありがとうございました。」

「・・・何してるの?」

リビングに入って声をかけると、私の様子を不審に思ったであろう亮一さんが、こちらに歩み寄ってくる。

「えっと・・・のぼせちゃって。」

「そんなことしてたら、余計にのぼせると思うけど。」

ひょい、と私の手からバスタオルが取り上げられる。

「あっ!」

反射的に、私は思わず両手で顔を覆ってしまう。

「・・・それは?何のポーズ?」

「な、なにって・・・。・・・・・・すっぴん隠し・・・。」

「え?」

ちょうどいい言い訳が見つからず、正直な理由を伝えてしまう。

しばしの沈黙が流れると、亮一さんは「あはは」と笑い出す。

「ちょ・・・!そんなに笑わなくたっていいじゃないですか!!」

「ごめん。馬鹿にしてるわけじゃないよ。

ただ・・・ナナはどこまでもかわいいなって思って。」

「そんなこと・・・。メイク取れたら・・・かわいくないかも。」

「別に。顔がどうこう言ってるわけじゃない。

それに、タオル取るときちょっとだけ見えたけど、大して変わらないよ。

すっぴんでも、十分かわいいと思うけど。」









< 164 / 261 >

この作品をシェア

pagetop