ナナイロのキセキ
「何かしようかなって思ったけど・・・。

そんなに緊張されると、ちょっと手が出しにくい。」

苦笑して、私を見つめる亮一さん。

「・・・まあ、期待してくれてるなら、もちろんそれに応えるけど。」

気持ちを見抜くように言われ、私は頬が熱くなる。

「そういうわけじゃ・・・。」

「ないの?」

「は、はい・・・。」

「・・・そっか。残念。」

微笑んでそう言う亮一さんは、完全に、余裕のある大人の男の人にしか見えない。

自分もドキドキするのだと、亮一さんは言っていたけど、

きっとそのドキドキの度合いは、私とだいぶ違うんだろうなと、感じずにはいられない。


(期待・・・とはちょっと違う。)



勝手に私が予想して、勝手にドキドキしてるだけ。

キスは・・・したいような、恥ずかしいような。

密室に二人きり、という状況ではあるけれど、密室というだけで、360度ガラスで覆われていることも、事実なわけで・・・。

微妙に他人の目がある状況を、必要以上に意識する。

実際、私たちの前後に位置するカゴの中は、動いた角度で見え隠れする。


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