ナナイロのキセキ
甘い感覚を味わいながらも、同時に、カタンカタンと動く観覧車のカゴが、まもなく地上に降りることを理解する。


(えっ・・・!ちょ、ちょっと、このままじゃ・・・!)


列に並ぶ人々が見える。

このままいけば、またもやたくさんの人にキスシーンを見られてしまう。


(ど、どうしよう・・・!)


甘さで意識が鈍るなか、わずかに残る冷静な感覚が、身体を離すべきかと考える。

私は焦りを伝えるように、亮一さんの腕をぎゅっとつかむ。

それでも態勢は崩れることなく、亮一さんは私に熱を注ぎ続ける。


(こ、これは・・・どうしたら・・・!!)


朦朧としながら焦っていると、あと数組で降りる順番、というところで、亮一さんはようやく私を解放してくれた。

「・・・はあ・・・ふう・・・。」

焦りと息切れと、ため息の混じった声が、私の口から洩れていく。

そんな私を見ていた亮一さんは、「ごめん」と甘い顔で囁いた。



私の手をひいたまま観覧車を降りた亮一さんは、そこから続く階段を降りると、立ち止まって私の顔を見下ろした。

「何もしないつもりだったんだけど。

ナナを見てたらやっぱり無理だった。」

「焦りました・・・。下に着いちゃうって・・・。」



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