ナナイロのキセキ
回されたままの腕が、さらに私を抱き寄せると、亮一さんの唇が、耳元まで降りてきた。


(もう、恥ずかしくて死にそう・・・。)


顔から火が出そう、というレベルではなくて、もう、完全に、顔から蒸気が噴き出ていると思う。

窓ガラスに映る自分たちの姿に気づくと、私の鼓動はスピードを上げ、立っているのもやっとの状態だった。

「もう一度抱きたいくらいなんだけど・・・

チェックアウトの時間もあるし、

ナナは朝食も楽しみにしてたしね。

今日は我慢する。」

そう言って腕をほどくと、私を正面に捉え、頬に触れながらキスをした。


(本当にもう・・・。)


このままとろけてしまいそうな甘い感覚。

これ以上、何も言えなくなってしまう。

「あ、そうだ。」

「え?」

その場を離れようとした亮一さんが向き直り、もう一度、大きな手で私の頬に触れる。

「起きた時さみしかったから。

ひとりで起きた罰に、またキスしてもらおうかな。」

「ええ!?」


(今度はそっち!?)


甘くて、ちょっといじわるが加わった・・・でもやっぱりどこまでも、私を見つめるやさしい瞳。

拒めるはずなんてない。

私は彼の首筋に手を回す。

精いっぱいの背伸びをすると、亮一さんの唇に、目を閉じてそっとキスをした。

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