ナナイロのキセキ
聞き間違いじゃない、と思う。

それでも。

現実なのか夢なのかわからずに、私の思考は停止する。

そのまま、亮一さんの腕の中で、時間が止まったように感じた。

「本当は、ずっと考えてたんだ。ずっと、そばにいてほしいって。」

亮一さんの声が響く。

ゆっくりと時間が戻ってきたように、私の胸が動き出す。

「だけど、ナナはまだ若いし、

人生決めるには早いだろうって思った。

仕事も・・・天職っていうくらい好きなのに、

もしいま結婚したら、やっぱり、辞めることになると思うし。」

「でも」と言ってから、私を抱く腕に力がこもる。

「ナナが転勤を決めてくれて・・・もう、今しかないと思った。

絶対に幸せにする。一生、大切にするから・・・

オレと結婚してください。」

耳元で聞こえた、プロポーズの言葉。

その声が私の胸に届いたとき、私は、全てが現実なのだと理解する。

頬に、ポロポロと涙が伝う。

思いを込めて、私は亮一さんの背中に腕を回した。

「はい・・・。」

そう答えるのが精いっぱいで。

それでも、亮一さんはわかってくれたのか、私をもう一度強く抱きしめる。

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