ナナイロのキセキ
「うん。なんでも。」


(・・・そりゃあもちろん、いろいろあるけど・・・。)


ここで何かを言ったら、なんとなく、全部買ってあげるとか言い出しそうな気配。

「うーん、いまは別に・・・。」

悩んだ挙句、私はそう返事をする。

「何も?」

「そうですね・・・。いまは・・・。」


(本当はいろいろ・・・。洋服もアクセサリーもカバンも靴も、

欲しいものはたくさんあるけれど・・・。)


「そっか。何か、プレゼントしたいなって思ったんだけど・・・。」


(・・・やっぱりっ!)


でも、いつもごちそうしてもらってるのに・・・。

これ以上、いろいろ買ってもらうわけにもいかない。

「遠慮してるわけじゃない?」

覗き込むように聞かれ、私はちょっとドキッとする。

「は、はい。」

「うーん。そっか。じゃあ、オレの好みで選ばせてもらおうかな。」

「え?」

「しばらく会えなくなるし・・・。オレが、なにかしたいんだ。」


カフェを出て坂下さんが向かった先は、透明感のある海のような、キラキラとしたジュエリーショップだった。

店内を囲む白い壁と壁の間には、ガラスの水槽がはめ込まれている。

その中で次々に生まれる水泡のひとつひとつが、まるでもう、宝石のようだと私は思う。

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