ナナイロのキセキ
「・・・!」

「・・・好きだよ。」

耳元で囁くと、そっと、亮一さんはつかんでいた腕を離した。

私は突然のことにドキドキして、うまく言葉がでてこない。

「電車、行っちゃうぞ。」

亮一さんは私の背中をやさしく押して、そのまま電車へと乗せてくれる。

「また、連絡する。」

プシューッという音がして、電車のドアが閉まってしまう。


(・・・あ・・・!)


右手を挙げた亮一さんが、ガラス越しの姿に変わると、

そのまま、電車の速度とともにどんどん遠ざかっていってしまう。


(亮一さん・・・。)


私からは、何も言えなかった。

亮一さんはいつでも、気持ちを伝えてくれるのに。

またしばらく、会うことができないのに。

私は自分の唇に、そっと指で触れてみる。

キスの感触が、まだ熱をおびている。


(亮一さん、私も、大好きだよ。)


切なくて切なくて、私は少しだけ、涙をこぼした。
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