負け犬も歩けば愛をつかむ。
彼女はすでにいつものクールさを取り戻していて、今ふぇ~んと泣いていたのが嘘のようだ。
「全部聞いてました?」
「……だいたいは」
再びあからさまにため息を吐く九条さんに縮こまっていると、彼女は予想外のことを口にした。
「あの人が……薫があなたの恋を妨害したみたいで、すみませんでした」
彼女が謝ったことに驚いて目をぱちくりさせると、彼女は目線を落としたままぽつりぽつりと話し出す。
「薫とは幼い頃からの付き合いで。口では意地悪なことばっかり言ってても、いつも自分より私のことを優先してくれるんです。それは、今回のことみたいに余計なお世話だったりもするんですけど。
でも、彼なりに私のためを想ってしてくれたことなので。許してあげてください」
目を合わさず、ぶっきらぼうに言う九条さんだけれど、本当に悪いと思っているのだろうということはわかる。
でも、今の話を聞いていると、専務はとても九条さんのことを気にかけているみたいだけど……。
「あなたのためにそこまでするってことは、まさか専務は……」
「私のことが好きなんじゃないですかね」
さらっと、何も躊躇うことなく言い放つ彼女に唖然とする私。
「はっきり言われたわけじゃないけど、たぶんそうなんだろうなとは思ってます」
「そ、そう……」
「全部聞いてました?」
「……だいたいは」
再びあからさまにため息を吐く九条さんに縮こまっていると、彼女は予想外のことを口にした。
「あの人が……薫があなたの恋を妨害したみたいで、すみませんでした」
彼女が謝ったことに驚いて目をぱちくりさせると、彼女は目線を落としたままぽつりぽつりと話し出す。
「薫とは幼い頃からの付き合いで。口では意地悪なことばっかり言ってても、いつも自分より私のことを優先してくれるんです。それは、今回のことみたいに余計なお世話だったりもするんですけど。
でも、彼なりに私のためを想ってしてくれたことなので。許してあげてください」
目を合わさず、ぶっきらぼうに言う九条さんだけれど、本当に悪いと思っているのだろうということはわかる。
でも、今の話を聞いていると、専務はとても九条さんのことを気にかけているみたいだけど……。
「あなたのためにそこまでするってことは、まさか専務は……」
「私のことが好きなんじゃないですかね」
さらっと、何も躊躇うことなく言い放つ彼女に唖然とする私。
「はっきり言われたわけじゃないけど、たぶんそうなんだろうなとは思ってます」
「そ、そう……」