君想い【完】
「あ、ゆかちゃんだ!」
窓から見える校門にはゆかの姿が映っていた。
昨日ゆかを見た男たちは誰もが足を弾ませて、
急いで校門へ向かおうとする。
その中に絵美もいる。
走り出した奴らが全員害虫に感じる。
なら僕は殺虫剤だろう。
誰よりも早く、
誰よりも先に、
ゆかの元にたどり着きたかった。
寒いはずなのに、
体中に汗をかいているのが分かる。
肩にかけた鞄が邪魔で仕方ない。
首に巻くはずのマフラーは
邪魔にならないように腕に巻き付けた。
昇降口を飛び出すと、
もうすでにゆかの周りには人がいた。
「ゆか!!!」
僕の声に気付き、
ゆかが顔を上げた。
ゆかの寄りかかっていた石柱に手を付いてゆかを囲み、
ゆかの整った顔を鞄で隠した。
「僕のなんで。」