君想い【完】
この病院を前にすると
頭が痛くなる。
祥吾は7階にいる。
目を閉じて、
祥吾は今思っているんだろう。
どんな夢を見ているんだろう。
きっと祥吾の夢の中のさりちゃんは笑っているんだ。
毎日笑顔で、
祥吾のために泣いたり、怒ったりしているんだ。
祥吾の知っているありのままのさりちゃんなんだ。
「302号室だって。純どうしたの?」
ゆかが受付から戻って来たとき僕はどんな顔をしていたんだろう。
顔をのぞき込んで心配するほどの顔をしていたのだろう。
「ねえ、祥吾に会ってからあっこ先輩の所行こうよ。」
ゆかは笑顔で頷いた。
エレベーターが異常に長く感じた。
機械音だけが耳に残る。
エレベーターでも酔ってしまい、
壁に寄りかかって黙っていた。
僕の事を良く分かっているゆかは、
話掛けてこない。
やっぱりゆかの隣りは安心する。
「大丈夫?降りるよ?」
ゆっくりと足を踏み出し、
エレベーターを降りた。