君想い【完】


ゆかは正しかった。

僕はただ真実を知るのが怖かった。

このままをさりちゃんが望んでいる訳がない。
このままで笑える訳がない。


「ごめん。弱気な事言って。」


ゆかが涙ぐんで首を横に振る。

苦しんでいるのはさりちゃんだけじゃない。
ゆかだって、香代だって、トシも。
みんな苦しい。

何も知らない祥吾が一番可哀想だ。


祥吾の部屋を後にするときが一番辛い。

1人にしてごめんね、
と謝りたくなる。

さりちゃんも同じ気持ちがあるから
祥吾の病院の後は
苦しんで発狂してしまうのかもしれない。


「祥吾くん。またね。」

「じゃあね。」


ゆっくりと離した手から祥吾の温度が消えていく。





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