君想い【完】
「誰か連れて来てって言ったけど、ゆかり連れて来たんだ。」
「ごめん!なんかトシには知ってる顔ぞろいだよね。」
「いや、ゆかりが謝るとこじゃないし、俺は気が楽。楽しむために今日は集まったんだし!なあ純?」
「あ、うん。」
茶色のワンピースに白の短めのコートを着て、
細い足が際だつ黒のブーツにはハートのチャームが付いている。
「あ、ゆかりです。」
小さい声で挨拶をしたゆかりちゃんは、いつも見ていた顔とは違った。
いつもさりちゃんの隣りにいた僕は睨み付けている顔しか見たことがない。
あと涙でいっぱいになった顔。
「ゆかりー。お前純と初対面だっけ?」
「あ!名前は知ってるし、顔も。純くん目立つから。」
「目立つ?僕が?」
「うん。成績もいいからテストの度に順位表に名前載ってるし、いつも中澤さんの隣りにいるし。」
「ああ、僕じゃなくてさりちゃんが目立つんだよ。」
「違うよ!純くんも目立つよ。顔立ち綺麗だし。」
「そんな必死に答えてくれなくてもいいのに。」
あまりにも必死なゆかりちゃんに笑ってしまった。
いつもさりちゃんの犬だとか、ペットとか下僕とか言われて来た僕には嬉しかった。
そんな僕の笑いにつられてゆかりちゃんも笑顔を見せてくれた。
初めて見る笑顔。
怒っている顔と、泣き顔しか見たことがない僕には新鮮だった。