*花は彼に恋をする*【完】

「…はい、そのまさかです。」

私は言葉を続けた。

「…もう…課長の心には
私の事なんて何一つ
映っていなかったんだ…って。
もう私は課長に想いを伝えても
無駄だから、諦めようって思って
忘れなきゃいけないって思って…。」

「…そうだったのか…あの時。」

彼はあの時の事を 

思い出したかのように呟いた。

「…それ以来
課長の結婚の話を聞かなくて
三橋からも聞く事を避けてきました。
だから、瑛美香さんが
お見合い相手だと思ったんです。
……だけど。」

私は彼に聞きたかった事に触れるべく

深呼吸をして口を開いた。

「…黒瀬課長はお見合いされたのに
なぜ結婚されなかったんですか?
私の事が好きだったら
どうしてお見合いしたんですか?」

「……。」

私の問いに黒瀬課長は

ジッと私を見つめたまま

「…まさか、見合いの話を
玲花が聞かれてたとはな…。」

彼は一瞬目を伏せた後、再び開いて

「…話すよ。
確かに見合いの話はあったんだ。」

そう言いかけて

再び前を向き直した。



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