*花は彼に恋をする*【完】
一瞬空を見上げていた翔英さんは
視線を下に向けると
「…なぁ、玲花。
『自分はいない方がいいのか?』なんて
そんな悲しい事を言うなよ…。」
と、突然そのような事を言い出した。
「……えっ!?何…で?」
私は見開いた。
その言葉に覚えがあるから…。
でも…。
「…どうして…その事を。」
私が驚くのだって当然だ。
だってあの日
東京出張だった翔英さんは
あの場には勿論いなかった。
高崎課長代理から
連絡があったと言ってたけど
会話が聞こえる範囲にはいなかった。
あの場には私と赤羽しか…。
…うん…!?赤羽!?
もしかしたら…。
「…まさか…あの…赤羽が。」
ポツリと口にした私に
「…ああ。その通りだ。
企画開発の赤羽から全て聞いた。」
と、彼はその言葉が
やはり赤羽が言った事だと認めた。
「……!!」
私は驚きながらも
言葉を失ったように黙ってしまった。
……だって。
『言わないで。』と頼んでいた
約束事は破られてしまったから…。