*花は彼に恋をする*【完】

***

その後

「…たくさんあるから持って帰って。」

と、瑛美香さんから

手作りクッキーのお土産を渡されて

黒瀬課長と一緒に

私はMIZUREビルを後にした。

『…送ってやるから逃げるな。』

と、先程と同様

彼に引っ張られるように

駐車場に連れていかれ

有無を言わさずに強制的に

彼の車の助手席に乗せられた。



「…帰り際に瑛美香から
レストランの割引券を貰った。
クッキーだけじゃさすがに
腹は満たされないから食事に行くよ。
…だけどその前に寄りたい所がある。」


そう言った黒瀬課長は

ある高台に車を停めた。

「…降りようか?」

と促された私は

車から降りると彼の横に立った。


5月の風が優しく吹いて

私の髪が揺れる。

「…夜景綺麗ですね。」

「…ああ、そうだな。」

彼は前を向いたまま頷いた。

高台から見える夜景は勿論

前を見つめる黒瀬課長の横顔も


……綺麗だな。


そう思いながら私も前を向いた。


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