雪恋ふ花 -Snow Drop-

「あれ、ウサギかな」


リフトから見える雪面の足跡を探すのも楽しい。
すぐ近くの木からは、高く澄んだ鳥の鳴き声が聞こえてきた。


「春さん」

「ん?」

「私と一緒じゃ、つまらなくない?」

「え? どういうこと?」

春人が驚いて珠を見た。


「だって、初級コースしか滑れないから」

「そんなこと、気にしなくていいの」

春人はそう言って、ふんわりと笑った。


春人はあちこちのコースを案内してくれた。
そろそろ大丈夫だろうと、中級コースもいくつか滑った。


お昼はゲレンデ内の蕎麦屋だった。

「ここは、天ぷら蕎麦がうまいから」


ゲレンデ内とは思えないレベルのおいしさだった。
さすがは蕎麦の名産地。
それにゲレンデの高い位置にあるため、眺めが最高だった。


ここのスキー場はシニアに人気らしい。
かっとびボーダーが少なく、安心して滑ることができた。
春休みとあって、親子連れも多かった。
そして、上手な人が多いとインストラクターも言っていた。

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