雪恋ふ花 -Snow Drop-
「くくく。いや、ごめん」
しばらく笑ってから、春人が言った。
「俺は黒部」
その名前を聞いたとたん、珠がはじけるような笑顔になる。
春人はその反応の意味がわからず、目で問いかける。
「きれいな名前ですね!」
珠が憧れるようなまなざしで言った。
「ええと、どこが?」
春人はわけがわからず、聞き返す。
「だって、あの雄大な黒部湖と同じ名前なんて。素敵な名前でうらやましいです」
「はあ」
「名前呼ばれる度、うれしくなりませんか?」
珠がきらきらした瞳で聞いた。
「いや、べつに……」