雪恋ふ花 -Snow Drop-

ここまで名前について感心されたのは、実は初めてだった。

「また行きたいなあ、黒部」

「なんか、複雑なんだけど。そんなふうに、うっとり見つめられると」

「あ、すみません。私よく、友達から勝手にトリップするって、叱られるんです」

そう言うと、珠はくふふと笑った。


「それで、何と呼べばいい?」

「べつにいいですよ、ブチでもタマでも」

「えっと……、じゃあ、珠ちゃんでいいか? 言っとくけど、カタカナの”タマ”じゃないからな。ちゃんと漢字で呼んでるから」


これまでそんな気遣いをしてくれた人は身の回りにいなかったので、珠は内心で驚いていた。
こんな人もいるんだ。

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