雪恋ふ花 -Snow Drop-

気がつくと、ココアのカップが空になっていた。

「俺は滑りに行くけど、おまえどうする?」

「もう少し、休憩してます」

「一人でだいじょうぶか?」


珠がいたずらっぽく微笑んで、言った。

「ええ。子どもじゃありませんから」

「だから、あれは、悪かったって」

「ウフフ。冗談です、せっかくスキー場に来たんだから、私のことなんて気にしないで滑ってきてください」

「じゃあ、ちょっと行ってくる」


珠が、立ち上がった春人に言った。

「ほんとに、ありがとうございました」

「え?」

「助けてもらって」

「あぁ、いや別に」


春人は急に恥ずかしくなって、サングラスをさっとかけた。

この俺が人助けなんてな。


< 17 / 146 >

この作品をシェア

pagetop