雪恋ふ花 -Snow Drop-
気がつくと、ココアのカップが空になっていた。
「俺は滑りに行くけど、おまえどうする?」
「もう少し、休憩してます」
「一人でだいじょうぶか?」
珠がいたずらっぽく微笑んで、言った。
「ええ。子どもじゃありませんから」
「だから、あれは、悪かったって」
「ウフフ。冗談です、せっかくスキー場に来たんだから、私のことなんて気にしないで滑ってきてください」
「じゃあ、ちょっと行ってくる」
珠が、立ち上がった春人に言った。
「ほんとに、ありがとうございました」
「え?」
「助けてもらって」
「あぁ、いや別に」
春人は急に恥ずかしくなって、サングラスをさっとかけた。
この俺が人助けなんてな。