雪恋ふ花 -Snow Drop-
それからしばらく滑って、春人は再びレストハウスに戻ってきた。
もうあれから2時間も経つし、さすがに昼時には友達と合流しているだろうと思ったが、念のため窓際の席に目をやってみる。
何となく寂しそうに見える小さな背中。
珠がさっきと同じ席に座って、ぼーっとゲレンデを眺めていた。
「おい」
「あっ」
珠は春人を見つけると、とたんにはじけるような笑顔になった。
「ここで何してる? 友達は?」
「会えなくて」
「あれからずっと、一人でここに座ってたのか?」
珠がこくりとうなずいた。
「昼飯は?」
「まだ」
「腹へってないのか?」
珠が黙って首をふる。
「じゃあどうして、食べない?」
「みんなと一緒に食べようと思ったんだけど、もうこんな時間ですね。違うお店に入っちゃったのかな?」
春人はそっとため息をついた。
どこまでお人よしなんだか。
「ちょっと歩くけど、うまい店に連れてってやる」
「え?」