雪恋ふ花 -Snow Drop-

「あ」「あ」

二人は同時につぶやいて、顔をそらす。


「あんな恥ずかしいこと、大声で叫ぶなよ」

春人の顔が心もち赤くなっている。


「だって、誰もいないと思ったんだもの」

珠も自分の頬が、自然と紅潮するのを感じていた。


「はあ」

春人が大きなため息をついた時、珠が突然、顔をこわばらせる。



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