雪恋ふ花 -Snow Drop-

「すみませんでした」

二人が去った後、姫花が春人の向かいの席に座った。
特別ハンサムというわけではなかったが、カッコイイ部類には入るであろう春人を値踏みするように、姫花はちらちらと視線を送る。


「賢はヤキモチやいてるだけなんです。今日は珠を助けていただいて、ありがとうございました」

「別に大したことはしてませんから」

「珠、すごく感謝してましたよ。あんないい人見たことないって、何度も何度も言ってました」

「いや……」


春人はこの手の女性、美人を自覚していて、男なら誰もが自分をちやほやするだろうと信じて疑わないようなタイプが苦手だった。
ちらりと後ろのテーブルを振り返って、小声で言った。


「席に戻った方がいい。また、けんか売られるのはごめんなんで」

春人にそんなふうに言われて、姫花は肩をすくめて席に戻った。
軽くかわされたみたいで、なんとなく、おもしろくない。

昌典は、賢と違って穏やかな性格なので、何事もなかったかのように、元の会話に戻る。







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