雪恋ふ花 -Snow Drop-
翌朝。
珠が洗面所に降りていくと、スキーウェアに着替えた春人とすれ違った。
「あ、おはようございます」
「おはよう」
「もう、お出かけですか?」
「うん、今日の夕方には帰るから」
春人は階段の上で、にらんでいる賢に気がついて、そそくさと出ていく。
朝食の席で、珠は昨日の晩から決めていたことをみんなに発表した。
「今日はスキースクールに入ろうと思って」
「えっ? せっかく来たのに、一緒に滑ろうよ」
姫花がそう言ってくれたが、珠は首をふる。
「私、ちゃんと滑れるようになりたいから。だから、私のことは、気にしないで楽しんできて」
「そうだな。パラレル滑れるようになったら、一緒に滑ってやってもいいぞ」
賢が冷たく言い放つ。
そんなことを言われても、珠は黙って笑っているだけだった。