雪恋ふ花 -Snow Drop-

スキーウェアに着替えて、途中までみんなと歩いていた珠は、いつしか遅れがちになった。
3人は全く気づかずに先に歩いていく。

スキー初心者にとって、雪道をスキーブーツで歩くのは至難の業だ。
おまけに、スキー板は小柄な珠の肩にずっしりとくいこんでくる。


やっとゲレンデの入り口に着いた時には、珠は息切れしていた。

「珠、スクールまで、一緒に行こう。心配だから」

姫花と昌典が、連れて行ってくれるというので、珠はほっとしていた。


「じゃ、お先に」

その横で賢はさっさとリフトに乗り込む。


「なに、あいつ? ほんとに、最低!」

姫花がそう叫んでも、賢は聞こえないふりで行ってしまった。
珠が複雑な顔で笑う。



リフトを2本乗り継いでゲレンデの中央部に着くと、姫花は迷わず初級コースを選んでくれた。
距離は長いが、ゆるやかな斜度で下に降りて、スクールの前に着いた。


「じゃあここで。今日は携帯、持ってきたでしょ? 何かあったら、すぐ連絡して」

「うん」

「出発は17時だから。それまでに荷物まとめといてね」

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