雪恋ふ花 -Snow Drop-
ぎこちない沈黙を破るように、春人がFMのスイッチを入れる。
心地よいヒーリングミュージックが車内に流れ始めた。
「なんか、しゃべって」
「え?」
「大阪までしゃべり続けるのが、おまえの任務。黙ってると、眠気が襲ってくる」
「あの、私……免許持ってなくて、運転代われないんですけど……」
珠が申し訳なく思って言うと、春人はふっと息を吐いた。
「心配するな。俺はいつも一人で来てるの。運転させる気なんてないから」
「すみません……」
優しい春人の言葉にますます申し訳なさがつのる。
「あ、それと、これから敬語禁止な。堅苦しいの苦手なんだ」
「うん、わかった。春さんは、今日どこ滑ったの?」
「ほぼ全コース滑ったよ。雪質も最高だったしな」
「へえ」
「おまえは、少しは上達したのか?」
「うん。暴走しなくなった」
春人がぷっと吹き出す。