雪恋ふ花 -Snow Drop-
やっぱり、今日もパラレルはマスターできなかった。
珠がしょんぼりしていると、春人が心配そうな目でのぞきこむ。
「疲れたか?」
「ちがうの」
「じゃあ、何か心配事?」
「いつになったら、滑れるようになるのかな、パラレル」
最後は消え入りそうな小さな声になった。
春人が驚いた顔をする。
「そんなに焦ることない。あぁ、いや、滑れるようになって今シーズン中にまた彼氏とスキーに行きたい気持ちはわかるけど……」
「……」
ちがう、そんなんじゃない。
珠は思わず叫びそうになった。
でも、秘めた思いを春人に気づかれるわけにはいかなかった。
「ある日突然、できるようになるから。もう少し、がんばってみよう」
春人にそんなふうに励まされて、珠はますますうつむくしかなかった。