雪恋ふ花 -Snow Drop-


ふと見下ろした珠の唇が真っ青になっているのに気づき、春人が慌てて立ち止まる。

「おい、どうした? 体調、悪いのか?」

「え?」

珠が不思議そうな顔をする。

「くちびるが、青い」

慌ててこすろうとする珠の手をとって、その冷たさに春人は言葉をなくした。

「ずっと、ここに立っていたんだな」

「え?」

「また、1時間待ちぼうけか? こんな寒空に何してる」

「……」

「とにかく、店に入ろう」

そう言いながら、春人は昼間に見た光景を思い出していた。

やっぱり、別れたわけではなかったんだな。

< 83 / 181 >

この作品をシェア

pagetop