雪恋ふ花 -Snow Drop-
ふと見下ろした珠の唇が真っ青になっているのに気づき、春人が慌てて立ち止まる。
「おい、どうした? 体調、悪いのか?」
「え?」
珠が不思議そうな顔をする。
「くちびるが、青い」
慌ててこすろうとする珠の手をとって、その冷たさに春人は言葉をなくした。
「ずっと、ここに立っていたんだな」
「え?」
「また、1時間待ちぼうけか? こんな寒空に何してる」
「……」
「とにかく、店に入ろう」
そう言いながら、春人は昼間に見た光景を思い出していた。
やっぱり、別れたわけではなかったんだな。