雪恋ふ花 -Snow Drop-

「この前、二日酔い、大丈夫だったか?」

春人にそう聞かれて、珠はまだちゃんとお礼を言ってなかったことを思い出した。

「大丈夫。あの日は、送ってくれて、ありがとう……。また、迷惑かけて、ごめんなさい」


春人はふっと笑うと、優しい声で言った。

「迷惑じゃない。それに、車で迎えに来てくれたのは沼田のだんなだ。大丈夫なら良かった。でも、外で酒飲む時は気をつけろ。いつでも俺が送ってやれるわけじゃないからな」

珠ははっとして春人を見る。
自分と一緒の時は飲んでもいいと聞こえたのは、都合の良すぎる解釈だろうか……。

「気をつける……」

「ん、わかったなら、よし」

何か失敗しても春人は頭ごなしに怒らない。
ちゃんと理由を説明してくれる。
春人が怒るのはいつも、自分がひどい目にあった時、その相手に対してだけだ。
初めて会った時からずっと。



春人は麗子の言葉を思い出していた。

『女性は心を許した人の前でしか酔わない』

他の男の前であんな無防備な姿を見せてほしくない。
そんなことを言う権利はないけど、本当はそう言いたかった。
いつでも送り届けるのは自分でありたい。



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