雪恋ふ花 -Snow Drop-
「デザートも食べられるなら、手作りケーキもあるけど?」
「チョコレート・フォンデュが食べたい」
春人は慌ててメニューを手に取る。
この店にそんなメニューあったか?
珠が机に立てかけられた、限定メニューを指さした。
そこには、「バレンタイン特別メニュー」の文字が躍っていた。
「今日は、14日か」
春人の会社はスタッフが5人しかいない小さな職場で、バレンタインに義理チョコを配る風習はなかった。
そう言えば、今日は昼休みに麗子がチョコレートケーキを買ってきていたな。
今さら、その意味を理解した。
それと同時に、若い女の子にとっては、きっと大切であったろう記念日をふいにされた珠の気持ちを思うとせつなかった。