風の放浪者
「これから、どうするのですか?」
「エリザは、どうしたい?」
「やはり、真実を明るみにしたいです。これは、隠してはいけないことですから。大勢の人達が、知らないといけないことです。それにそうしなければ、精霊達は納得しないでしょう」
昨夜の光景を見てから、エリザは精神的に強くなっていた。
人は多くのことを経験し成長していくというが、彼女は真実を知ったことによって成長を果した。
確かに一度は気絶したが、以降は意識を保ち自身の考えを明確に伝えていく。
弱いと思っていたが、本質は違っていた。
「でも、難しいだろうね」
「昔のことですから?」
「いや、違う。たとえ長い年月が経過していても、知ろうという行為を行えば時などは関係ない。問題は、知ろうとしない行為さ。特に、真実を明るみにすることを邪魔する者がいる」
「そうですね」
「まず、その者を何とかしないと」
エリザが何か言葉を発しようとした瞬間、低音の音が鳴り響く。
その恥ずかしい音にエリザは全身を硬直させ、動けなくなってしまう。
それに続き顔が徐々に真っ赤に染まっていき、俯いてしまう。
どうやら立派に振舞っていても、食という生理的欲求には勝てないようだ。
「お腹空いた?」
「だ、大丈夫です」
「無理しなくていい。食べる物も食べないで倒れられたら、こっちが困るから。さて、街には行くのは危険だし……誰かに行ってもらうのが一番だけど、といって僕達では捕まってしまう」
ユーリッドは両手を組み、どうやって食べ物を調達するか考えていく。
ふと、ある人物の顔が脳裏を過ぎる。だが、その人物を苦手としているので徐々に表情が強張っていく。
それにあの人物には死んでも借りを作りたくないのだが、食べ物を手に入れるには彼に頼るしかない。
「フリム、頼みがある」
「はい。マスターの頼みなら」
「例の煩い奴を知っているだろ?」
ユーリッドの言葉に、フリムカーシの眉が微かに動く。
彼が示す人物を瞬時に理解したのだろう、反射的に主人から視線を逸らしてしまう。
このように、精霊から嫌われている人物――それはエリックしかおらず、フリムカーシ自身も相当毛嫌いしているのかなかなか首を縦に振らない。