小咄
「真砂だって、わらわがいいんじゃないの?」
不意に、深成がにやりと笑った。
が、真砂は目を閉じたまま、素っ気なく答える。
「当たり前だろ。野郎よりもお前のほうがマシだ」
「違うでしょっ。千代だったら、いっつもさっさと追い出すじゃん。真砂が自ら部屋に入れてくれるのって、わらわだけじゃん」
ぱち、と真砂の目が開く。
ちょっと面白そうな表情で覗き込んでいた深成が、ぎゅむ、と真砂に抱き付いた。
「真砂だって、わらわのこと、結構好いてるでしょ」
「……凄いこと言うな。どんだけ自分に自信があるんだ」
「違うも~ん。六郎兄ちゃんがわらわのこと好きなように、真砂もわらわのこと、嫌いではないってことだも~ん。真砂に嫌われてたら、こんなことしたら殺されちゃう」
確かに真砂の性格なら、よっぽど気に入ってないと、ここまで構うことはしないだろう。
そう考えれば、真砂は深成のことを、相当構っているのだ。
相手が千代やあきなら、ここまでしないだろう。
「まぁ、確かにな。お前は犬みたいなもんだし」
馬鹿にしたように言うが、深成は特に反応せず、相変わらずぺとりとくっついている。
そのまましばし、しん、と時が流れる。
てっきり寝たと思っていた深成が、不意にぼそ、と呟いた。
「わらわ……真砂が好きなのかも」
「ん?」
真砂が聞き返す。
好き、とは言っても、深成のそれは、油断出来ない。
深成にとって、Loveに値する男が存在するのだろうか。
そもそもそこまで想う相手が、この幼い子供にいるとも思えない。
「わらわだってね、ただ好きなだけの人に、こんなくっついたりしないもん。好きなだけっていうか……。う~ん、難しいけど、あんちゃんとか六郎兄ちゃんとか考えても、やっぱり真砂がいいんだよね、わらわは」
真砂がちょっと妙な顔をして深成を見る。
「あんちゃんも好きなんだけど、あんちゃんに抱っこされても、う~ん、ここまで安心出来ないっていうか。安心っていうか……何か……嬉しいっていうのかなぁ」
「あいつは歳が近いからじゃないのか」
「だったら六郎兄ちゃんだったらいいわけじゃん? 六郎兄ちゃん、真砂よりも年上だよ? 歳が離れてるほうがいいってんなら、六郎兄ちゃんが一番じゃん」
「違うのか?」
「違う。安心は出来るかもだけど、嬉しくは……ないかも」
「俺に抱かれると嬉しいのか?」
「真砂、いやらしい。嬉しいっていうか……」
ちょっと頬を染めて、深成が軽く真砂を睨む。
『抱く』というと、状況が状況だけに、どうも違う意味に聞こえてしまう。
「何て言えばいいんだろ」
困ったように言いつつ、深成はまた、ぺと、と真砂に抱き付く。
真砂も、きゅ、と抱き締めてみた。
不意に、深成がにやりと笑った。
が、真砂は目を閉じたまま、素っ気なく答える。
「当たり前だろ。野郎よりもお前のほうがマシだ」
「違うでしょっ。千代だったら、いっつもさっさと追い出すじゃん。真砂が自ら部屋に入れてくれるのって、わらわだけじゃん」
ぱち、と真砂の目が開く。
ちょっと面白そうな表情で覗き込んでいた深成が、ぎゅむ、と真砂に抱き付いた。
「真砂だって、わらわのこと、結構好いてるでしょ」
「……凄いこと言うな。どんだけ自分に自信があるんだ」
「違うも~ん。六郎兄ちゃんがわらわのこと好きなように、真砂もわらわのこと、嫌いではないってことだも~ん。真砂に嫌われてたら、こんなことしたら殺されちゃう」
確かに真砂の性格なら、よっぽど気に入ってないと、ここまで構うことはしないだろう。
そう考えれば、真砂は深成のことを、相当構っているのだ。
相手が千代やあきなら、ここまでしないだろう。
「まぁ、確かにな。お前は犬みたいなもんだし」
馬鹿にしたように言うが、深成は特に反応せず、相変わらずぺとりとくっついている。
そのまましばし、しん、と時が流れる。
てっきり寝たと思っていた深成が、不意にぼそ、と呟いた。
「わらわ……真砂が好きなのかも」
「ん?」
真砂が聞き返す。
好き、とは言っても、深成のそれは、油断出来ない。
深成にとって、Loveに値する男が存在するのだろうか。
そもそもそこまで想う相手が、この幼い子供にいるとも思えない。
「わらわだってね、ただ好きなだけの人に、こんなくっついたりしないもん。好きなだけっていうか……。う~ん、難しいけど、あんちゃんとか六郎兄ちゃんとか考えても、やっぱり真砂がいいんだよね、わらわは」
真砂がちょっと妙な顔をして深成を見る。
「あんちゃんも好きなんだけど、あんちゃんに抱っこされても、う~ん、ここまで安心出来ないっていうか。安心っていうか……何か……嬉しいっていうのかなぁ」
「あいつは歳が近いからじゃないのか」
「だったら六郎兄ちゃんだったらいいわけじゃん? 六郎兄ちゃん、真砂よりも年上だよ? 歳が離れてるほうがいいってんなら、六郎兄ちゃんが一番じゃん」
「違うのか?」
「違う。安心は出来るかもだけど、嬉しくは……ないかも」
「俺に抱かれると嬉しいのか?」
「真砂、いやらしい。嬉しいっていうか……」
ちょっと頬を染めて、深成が軽く真砂を睨む。
『抱く』というと、状況が状況だけに、どうも違う意味に聞こえてしまう。
「何て言えばいいんだろ」
困ったように言いつつ、深成はまた、ぺと、と真砂に抱き付く。
真砂も、きゅ、と抱き締めてみた。