傷ついてもいい
駅前まで行くと、なかなか人気のようで、店の前に数人の学生が並んでいた。

「あー、やっぱ混んでるねえ」

麻衣子と話しながら、列の最後につくと、目の前に見覚えのある背中がある。

「あれ?相澤くんじゃない?」

麻衣子が耳元でささやく。

直己の隣にミカちゃんがしなだれかかるように立っていた。

「直己い、お腹空いたよお。まだかなあ?」

「うん、もうちょっとみたいだね」

直己は、優しく言ってヨシヨシとミカちゃんの頭を撫でている。

「なんか、居づらいよね…」

麻衣子が小さな声で言うと、直己が不意に振り返った。

「あ、佳奈さん達も?」

ニッコリと笑われて、麻衣子は、形相を崩している。

「あ、えと、混んでるみたいだし、私達は」

佳奈は、慌てて麻衣子の腕を引いて、その場を去った。



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