傷ついてもいい
けれど案の定、麻衣子は梶原に連絡を取ったようだった。

「昨日、デートだったんだ…」

ランチ中、麻衣子は、うっとりとした顔で佳奈に言う。

「そうなんだ。楽しかった?」

「楽しいっていうか…」

麻衣子は、記憶を反芻するように言った。


「なんかさあ…、ああいうの初めてだったから、驚いちゃった」

「え?なに?」

「彼、すっごいドSなの」

「どエスって、え?もうシたの?」

うん、と麻衣子は、照れ臭そうに頷いた。

「早いね…」

佳奈は、少し展開の早さに驚く。結婚を意識していたら、もう少し慎重になるものじゃないだろうか。

「だって話しても、盛り上がらないし。ほんとに何考えてるかわからなかったからさあ。てっとり早く、どんなエッチすんのかなあって思って」

「なるほど。で?どんな?」

佳奈は、軽い気持ちで聞いてみた。

「まず、言葉攻め」

「え…」

佳奈は、そういう世界には、うといので、よくわからなかった。

「だからさあ、ブスのくせによく俺なんかと付き合おうと思ったな!とか言いながら抱きしめられて、キスされんの。で、ブタのくせに!とか言いながら胸に触ってきて…」

「ちょ、ちょっと待って。それって嬉しいの?」

佳奈は頭が疑問符でいっぱいになる。

「嬉しいっていうか。興奮する」

「なんで?なんで、そんなこと言われて興奮すんのよ」

佳奈には、理解できなかった。

「何だろう。言葉では、嫌いって言ってんのに、身体は違う反応する、みたいな?」

「そうなんだ…」

「彼も結構、興奮してたみたい。身体の相性がいいのかなあ」

麻衣子は、ニヤニヤと思い出し笑いをしている。


色んな幸せのカタチがあるのだ。佳奈は和田を気の毒に思いながら、麻衣子は、Mだったのか…と納得した。








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