傷ついてもいい
「綺麗な月だねえ」

直己が急にそんなことを言うので佳奈は笑ってしまった。

「なんで笑うんだよお」

「あはは…ごめん。直己の口からそんな言葉を聞くとは思わなかったから」

直己は、ニコニコと笑いながら、さりげなく佳奈の隣に並んだ。

「病院以来だね」

「ほんと、もう体調は、全然いいの?」

「うん!ピンピンしてる」

直己は、細い腕で力コブを作ってみせた。

「あはは、相変わらず細っこいなあ」

佳奈は、直己の腕にそっと、触れてみた。

「あのさあ、佳奈さん」

「んー?」

「俺、佳奈さんちに忘れ物しちゃったんだよね」

直己は、佳奈をまっすぐに見て言った。
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