傷ついてもいい
「柚香さんと付き合ってるんだってね」

佳奈は、話題を探して言った。

「ああ、うん」

「うまくいってる?」

「うん。佳奈さんは?」

「うん、うまくいってる」

「そう」

中身のない会話を交わしながら、直己の本当の心を読み取ろうとしてみたけれど、やっぱり諦めた。

本当の気持ちなんて、誰にもわかる訳はない。

佳奈自身でさえ、自分の気持ちが分からないのに。

けれど続けていくことで、嘘が本当になることだってある。

人の気持ちは、いつも変わっていくんだから。

二人で電車に乗り、佳奈のマンションに向かった。
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