傷ついてもいい
「じゃあ、おやすみなさい」

「また月曜日に」

エレベーターの前で斎藤と別れた。

佳奈は、コンビニの袋をぶら下げて鍵を開ける。

あ、鍵開けとくんだったよな。

なんだか直己のことをしばらくの間忘れていた。

こんな解放された気分は久しぶりな気がする。

いつの間にか、直己は、佳奈の生活の全てに入りこんでいた。

「はあ…」

一体いつまでこんな風に心を乱されるんだろう。

直己にとっては、ほんの気まぐれでしかないのに。

佳奈は、アイスを食べながらなんだか泣きたくなって来た。

「美味しいなあ」

甘いはずのアイスが少ししょっぱかった。


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