傷ついてもいい
「お姉ちゃん、おかえり!」

インターフォンを押すと同時に玄関のドアが開いて由奈が飛び出してきた。

「ただいま」

「わあ、これルナスイートのプリン!食べたかったんだよね!」

「わかってるよ」

由奈にプリンの箱を奪いとられて、佳奈は苦笑する。


「お母さん、ただいま」

玄関先で声をかけると、母親がエプロンで手を拭きながら出てきた。


「佳奈、おかえり。疲れたでしょ?」

「大丈夫。電車座れたし」

佳奈は、久しぶりに家族の中にはいり、その煩わしいほどの愛を感じた。

斎藤と、こんな家族を作るのもいい。

鬱陶しくて、面倒で、そして何よりも暖かい、そんな家族。

佳奈の気持ちは、少しずつ現実をみつめはじめていた。

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