もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~
「てめぇには関係ねぇだろ?!」
「誰にそんな口聞いてんだよ?!」
いや、ちょっと待って……
そんな小さい体でジュンに掴みかかるなんて……
「どうした?」
般若のようなお母様と、いつも通り不機嫌なジュンの声を聞いて助けに来てくれたのは、素敵なお父様。
良かった……これでこの場は収まりそうだ。
「またやってんのか?」
“また”ってお母様はいつもこんな感じなの?!
「コイツがまたいきなりキレた」
「誰がコイツだって?!」
「亜美、落ち着け。体に悪いだろ?」
「伸也さんはまたジュンの味方なの?!無口で無愛想で頑固な所、全部そっくり!!」
「亜美、その辺にしとけ」
お父様の一声でこの場は丸く?!収まったけど、この家族何?
家族がいない私がいうのもなんだけど、なんか違う。
てか、最近私の回りにいる人間は何かが違う!!
ゴタゴタがあったせいで、私は素っぴんのまま、リビングに戻ることとなった。
始めに座った位置に全員が座り、無言が続く。
このピリピリとした空気をなんとかして欲しい。
かと言ってさっきみたいな揉め事は嫌だけど……
でも、二人の喧嘩は今に始まったことではなさそうだ。
さっきのお父様の発言といい、こんな中隣で優雅に珈琲を飲んでるリュウといい、慣れている。
「亜美、お客さんの前だ。きちんとしろ。何があった?」
お母様は私の存在を忘れていたのか、視線を私に向けた後、申し訳なさそうな顔をして、口を開いた。
「純麗ちゃん、ごめんなさいね」
「もう、バレてんだから、猫被んなくていいって」
「ジュン黙ってろ」
ジュンの言葉に一瞬目付きが変わったお母様だけど、さすがお父様慣れていらっしゃる。
「私はただ、純麗ちゃんが化粧を終えるまでそっとしておいてあげたかっただけ。恥ずかしい思いしたんだから、気持ちが落ち着くまで、ジュンやリュウには顔を見られたくないかなって思って。それなのにジュンは……」
ジュンの一言に効果があったのか、お母様は話し方をガラリと変えた。
変えてみるとこのほうがしっくりくるような気がする。
「なら、始めから、そう言えよ」
「言ったけど?!ドア開けるだけって釘指したよね?!」
「それだけじゃ、わかんねぇよ」
「純麗ちゃん、本当にごめんね。化粧してきて。飲み物も入れ直すから」