バスボムに、愛を込めて
「あ、ええと、じゃああたしも」
彼に続いて腰を上げると、クッキーをかじった美魔女なお母様は、ぼそりと言った。
「いちゃいちゃしてもいいけど、夕飯までに終わらせてね。あと、隣にリョータいるんだから声は抑えなさいよ」
お、お、お母様! なんてことを!
おそらくゆでだこみたいに真っ赤になって動揺するあたしとは対照的に、こういう会話に慣れているらしい本郷さんはしれっと言う。
「……ご忠告、どーも」
否定しないんですか? てことはいちゃいちゃするんですか?
なんて、聞きたいけど聞けるわけもないあたしは、高鳴る胸を押さえつつ、彼に続いてダイニングを出て階段を上がっていった。
部屋に入ると、本郷さんはあたしをベッドに座らせて、自分はその正面の床で胡坐をかく。
さっき彼のお母さんにあんなことを言われたから二人きりの空間に妙に緊張してしまって、あたしはベッドの上にあった四角いクッションを勝手に取って、胸に抱きしめた。
「……あのな。別にいきなり襲おうとか思ってないから、そんなに身構えるなよ」
「み、身構えてなんか……」
「美萌」
ぴくりと耳が反応して、あたしは本郷さんを見つめた。
今、みも……って、言った、よね。本郷さんが、あたしを名前で呼んだ……
これは夢? それとも妄想? 頬をつねって確認したいけど、今さらクッションを手放すわけにもいかなくて、あたしはただ瞬きを繰り返す。