HAIJI
どんなやつかはわからないが、おおよそどんな人間がそうしているのか想像したことがあった。
笑いながら、細い小さな身体をいたぶる姿が思い浮かんで気分が悪くなった。
不衛生で迷惑だから、野生の動物のように麻の袋に入れられて、トラックの荷台に積まれていく。
保護者もいなければ、管理する国が直接供養するわけでもない子供。
あくまでも仕事として、お金を掛けずに葬られていく。
形ばかりのお経を読まれるだけだ。
ナナタの顔を鉄の棒で殴れる人間は沢山いる。
それが現実だ。
楽しいのだろうか。
否、少なくとも自分は楽しむことはできない。
それは間違いない。
楽しみたいとは思わない。
結局、俺は理不尽にもなけなしの正義や善というものを試されているとわかっていながら、従順になるしかないのだろうか。
濁った水の底を覗き込むようなモヤモヤとした頭に、フッと笑い声が届いた。
イチイだ。
「俺はササライがご飯を食べて、ナナタが喜ぶのが一番理想的だと思うよ」
あからさまな正論に眉間を寄せる。
「少し食べればいい。簡単だろ?」