地の棺(完)
「わ、わたしがですか?」


「ええ。冷却シートの場所が僕ではよくわかりませんし」


渋い顔の多恵さんを見ていると、いたたまれない気持ちになって、


「あの、わたし行きましょうか?」


と名乗りを上げたが、神原さんは首を横に振った。


「蜜花さん。全然休めてないでしょう?
少しは眠った方がいいですよ。眠れなくても横になって目を閉じるだけでも違いますから」


神原さんの言葉に、多恵さんがはっとした顔でわたしを見る。


「ごめんなさいねぇ、蜜花さん。私ったら一人で寝こけちゃって……」


多恵さんは申し訳なさそうに頭を垂れた。

慌ててその前に移動し、多恵さんの両手をとる。


「ううん。気にしないでください。わたし、けっこう体頑丈なんです」


「あはははっ! あなたの体型で頑丈だっていうなら、私だったら鉄壁の要塞ってとこでしょうねー
大丈夫。行ってきますよ。蜜花さんは少し寝てくださいね!」


そう言った多恵さんの表情は、少しだけ明るさを取り戻して見えた。



神原さんと多恵さんが部屋を出ると、途端に部屋は静寂に包まれる。

椿さんは初ちゃんの隣に立ったままだし、わたしは多恵さんが寝ていた布団の上で座り込んでいた。

椿さんと話がしたかった。

でもなんて切り出していいか、タイミングがつかめない。

眠くないけど、とりあえず体を休めるため布団に横になる。

体が下に引っ張られるような重い感覚に、ああ、疲れてるんだな、なんて初めて実感した。
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