あの人は俺たちの兄だった。

「頭をあげてくれよ、新島」


俺はそういった

新島はそれにおびえるように、ゆっくりと顔をあげて俺を見た

その顔は今までとは確かに違う

あの、俺をコケにしていた新島の顔ではなかった

ホントに、悪いと思っている顔

演技とかそんなんじゃない

新島の表情が、目がそういってる

あのことがあって、確かにみんなの態度は変わったけど

それは新島のような反省といったようなものではなくて

畏怖するような態度で、ホントはそれにも傷ついていた

俺は、ただ普通に友達が欲しかった

でも、みんなの態度見てそれは無理なんだと思った

友達なんて最後までできないんだと

こいつらが今見ているのは、俺のほんとの家族の方なんだと

そう思った

でも・・・新島は違う

こいつは俺を見てる

他の奴とは・・・違う
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