【ミドリガメ日記】みーちゃんと私
「ち、ちびちびちゃん。か、怪物!?」
まだ猫を見たことがないでかでかちゃんも、敵であることを本能で察知して身体を甲羅に引っ込める。
「猫よっ。動かないで!」
私もそれに習う。
猫は動くものに反応する。食べる訳でなくても、あの鋭い爪で獲物を転がして遊ぶのだ。
こういう時の最善の方法は、じっとして動かないこと。だけど――。
「いやぁ! 怖いっ。怖いよぉっ!」
でかでかちゃんが恐怖のあまりパニックを起こして、洗面器の中を暴走した。
パニック状態の亀の動きは信じられないくらい早い。それは身を守る術なのだけど、この時はそれが裏目に出た。
その動きに興味をひかれた猫のブルーの瞳が、ランランと輝きを増す。頭を低くして攻撃態勢に入る。
ダメ! やられる!