禁断の恋~先生×生徒~
『ごめんね、ありがとう…先生』


「どんな内容なんだ?」
「えーと……」
「襷先生。ご自分で読んでみたらいいじゃないですか」
「それもそうだな…。佐山。読み終わったら交換な」
「はい…」
「手続きはきちんとして下さいね。襷先生、結衣ちゃん」

「わかりました」
結衣は頷いた。



襷先生とこんなちょっとしたことこんなに仲良くなれるなんて……。


結衣はもう一つ本を手にしている。

『教員への道~中学・高校数学科~』

「ん?佐山教師になりたいのか?」
「はい。襷先生みたいな数学科教員に」
「俺みたいか…。頑張れよ」

「はい」


襷先生は結衣の頭を『くしゃ』とやった。


同時に結衣の心の中に一つの思いが浮かんだ。浮かんでは消え、浮かんでは消え…。
その繰り返し。



その思い……。


『ねぇ、先生。
先生にとって、私はただの…一人の生徒ですか――?』


叶うはずのない思い。だけど……気持ちを抑えることができない……。



まるで……あの本みたいに――
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