悪徳転生公女の他国王太子妃生存計画~それでも王太子を愛してしまいました
4.どういうわけか…
なぜだ。
なぜ本性を現さない。

オフィーリア・アヴァ・オルブライトだと?
婚約が決まったと聞いた時にはアシュトンの頭は真っ白になったものだ。

彼女の評判は当然ラングレーまで轟いていた。
魔性の女だと。
その別名を『婚約クラッシャー』と呼ぶと。

そんな女がなぜ自分の婚約者でないといけないのだ。

今まで自分が結婚してこなかったのはそんな女と結婚するためだったというのか…。

かなり胸糞悪い話だったが、受けないわけにはいかない。
それはアシュトンも心得ていた。

自分も一国の主となる身。
結婚は一存ではできない。
だから、どの女性も好きにならないよう、気を付けてるつもりだった。
戦地で女を抱いたことはあるが、避妊はしていたし、情を移したことはない。
その日限りの関係の女だけだった。

「それで?リヴァイ。かの女の素行はいかがか?」

国王である父と王妃である母との仲は決して悪くはなかった。
政略結婚にしてはめずらしい。

なのに息子を魔性の女と結婚させねばならないことに苦しんでいるようだったが、その女の素行を暴けばよいではないかと、マウザナイト語を話せるイケメン騎士のリヴァイを護衛としてつけようと提案してくれた。
おそらく魔性の女ならリヴァイを誘惑するはずだから、現場を押さえればよいと。

それでも本性を現さないなら、身体が弱いと聞くから、それを理由に夜の生活を拒否し、他に側妃をつければよいと。
監視役として、侍女に信用できるエレンもつけた。

これで準備万端だと思っていたのだが…。

「いつもこちらを気遣ってくださるよき主人と心得ます。誘惑なさるようなことは決してなさいません。むしろ…」

「むしろなんだ?」

何かちょっとでもあれば

「エレンには笑いかけられますが、自分にはいっさい笑顔をお見せになりません。ただ…」

「ただ、なんだ?」

「ラングレー語を教えてほしいと言われました」

「は?」

「1か月後の結婚式までに完璧にしたいからと、エレンと僕が毎日講義を…」

「なんだそれは」

報告では、勉強嫌いで身体も弱く、ただただ魔性の女だとのことだったが…。

「まぁいい。ひきつづき報告をするように」

「はっ」

こんな感じで、どうも初日から気に入らない結果となったのだ。
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