──どうしてですか、先生。
とある事情から、織部柚子は
天才外科医、八柳蒼史の偽装恋愛の相手になった。
恋人の振りはしていても、
本当の関係は違うはずなのに……。
「君が欲しい」
たったひと晩だけの幸せな夢を見た翌朝、
彼がかけた言葉はとても冷たかった。
「この関係を終わりにしよう」
……それから四年の月日が経った。
交わることのない柚子と蒼史は、
ふたりの間に生まれた息子、優史をきっかけに
もう一度出会いを果たす──。
「患者に手を出すような医者になった覚えは
なかったんだがな」
妻が相手でもだめなのかと問われた彼は、
最愛の人を前に優しく微笑む。
「公私混同をすべきではないと思っている。
……今は例外だ」
最高の医者であろうとする蒼史と、
彼の幸せのために身を引いた柚子。
運命は想い合うふたりを、決して引き離さない。
- あらすじ
織部柚子は四年前、天才外科医の八柳蒼史と偽装恋愛をした。それなのになぜか蒼史は柚子を求めてきて……?「俺だけを見ていろ」そう囁いた彼とひと晩を過ごすも、それが最後の夜になってしまった。そうして四年後、彼には言えずに生み育てた息子の優史をきっかけに、ふたりは再会を果たす。「もう我慢しないと決めたからな」大切な人と共に生きるため、ふたりはついにお互いへ向かって踏み出すが……?