祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】
カゼはイノリの部屋のインターホンを押した。




「ここがイノリの部屋なの?」

「………そう。キヨには教えるなって言われてたけど」

「…え?なんで…」




キヨがカゼにワケを聞こうとすると同時にドアが開く。


中から出て来た人物に目を見開くカゼとキヨ。





「……お姉ちゃ…ん?」




イノリの部屋から出て来たのは華月だった。


動揺したキヨは後ろによろめく。





「久しぶりね、美月。それと風くん。祈なら寝てるわよ。…起こす?」

「………お願いします」

「ちょっと待っててね」




華月はドアを閉め、イノリを起こしに向かった。






「………だから言った。不変の気持ちなんて…変わらない愛なんてない」




カゼの言葉にキヨは唇を噛み締める。


すると部屋から寝癖のついたイノリが、首を掻きながら出て来た。






「何だよカゼ…来るなら前もって連絡しろ……ってキヨ!?」





カゼの横にいるキヨに気付いたイノリは、半開きだった目を完全に開いた。






「わかったよ、イノリ。何だかんだ言って…イノリはお姉ちゃんが好きなんだね。…お姉ちゃんといたかったから…あの家を出て行ったんだ」


「違う!それは違う。俺は…」


「いいよ、変に否定しないでも。私とイノリは“ただの”幼なじみであって…私はどうこう言える立場じゃない。……さよならっ」


「キヨッ!!!!」





キヨは1人、アパートから走り去った。
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