祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】
「………やられたからやり返した」

「っ…!!いってぇな」



カゼはうずくまるイノリの腕を引っ張り、起こす。





「………キヨに何もされたくないなら帰ってこい。こんな所に逃げてないで。今なら間に合う。帰ってきなよ。いい加減キヨが可哀相だ」


「俺は…キヨとは付き合わない。好きだけど付き合えないんだよ」


「………綺麗事ばかり並べてても幸せにはなれないよ」


「キヨが幸せになるのなら構わない。俺は幸せにはなれなくても」




カゼはイノリを見てため息をつくと、頭を掻いた。





「………そう。これ以上キヨを傷付けるのなら俺がキヨを貰うよ。俺もイノリと感情は違えどキヨが好きだ。だからイノリがいつまでもそんなんなら、無理矢理にでも抱いて俺のものにするからな」

「…好きにしろ!」




イノリはそう言うと、家の中に入り勢いよくドアを閉めた。


カゼはドアを蹴飛ばすとキヨの後を追いに走り出す。






「何よ、祈。美月に何で私がいるか話さなかったの?」

「いいよ、別に。キヨと俺は特別な関係じゃねぇし」

「いい加減、自分の幸せ考えたら?祈は自分を犠牲にし過ぎよ」

「俺はいいんだよ。もういいんだ」




イノリはそう言うと、煙草に火をつけた。
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