祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】
「………キヨ。待って」



足を止めないキヨに簡単に追いついたカゼは、キヨの腕を掴む。


キヨは涙でマスカラが落ち、黒い涙を流していた。




「………キヨ、イノリはね」


「もういいの!イノリはお姉ちゃんを妊娠させちゃったから、責任を感じてるんだってわかってるよ」


「………じゃあ泣くな」


「でもなんで?お姉ちゃんには居場所教えるし、一緒にいるのに…どうして私には何もしてくれないの?……イノリが今までしてくれた事は全部嘘だったの?私を…裏切ったの?」




キヨがぐしゃぐしゃになった顔でカゼを見つめると、カゼはキヨを抱きしめた。





「…どうしてこんなに好きなのに…イノリだけは手に入らないの?あんなに一緒にいたのに、あんなに触れられたのに…どうして離れていくの?どうしてもう…触れる事さえ出来ないの!?」


「………キヨ」


「東京になんか来なきゃよかった!付き合えなくても、地元であのままみんなで過ごしていた方がよかったよ。

イノリなんかと出会わなければよかった!幼なじみになんか生まれてこなければよかった…」


「………キヨ、イノリはキヨと出会えて幸せだと思ってるよ」




カゼは泣き叫ぶキヨの背中を優しく叩く。




「…もう…遅いんだ。私がイノリの気持ちに気付いてあげるのが遅すぎたから…」


「………自分を責めるな。キヨは何も悪くない。キヨはいつだって優しいよ」




カゼはキヨの体をキツく自分に引き寄せる。





「…カゼ。私にも……イノリと同じ痛みを…味わせてよ!」



キヨがそう叫ぶと、カゼはキヨの頭を掴み強引に唇を重ねた。




そのままホテルに向かった2人は服を脱ぎ、ベッドに身を委ねた。




恋愛感情なんてない。

それでも頭の中が真っ白になってしまった2人は体を弄りあった。



カゼはキヨの手首に残る痛々しい傷痕を、何度も何度も優しく舐めた。





「………入れるよ」




カゼが高まる理性の中そう呟くと

キヨは顔を手で覆い隠しながら震えていた。
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