捨て猫にパン
「…っ…っ…!ウワーッ!!」


どうしようもなく感情が暴走して、小さな子供みたいに大きな声をあげて泣くあたしに。


助けてくれた男の人は、電車から繋いだままの手に更に力を込めて、あたしの左手首を握ってくれた。


“大丈夫”


って。


そう言ってくれてるみたいな大きな手に、涙が止まらない。


腹が立って悔しくて、情けなくてぐちゃぐちゃのあたしの感情は、ただ涙になるだけで自分でセーブするなんてできっこなくて。


「行こ」


男の人は泣きじゃくったままのあたしの手を引き、ゆっくりと階段を降りて行く。


改札をくぐって、そのままタクシーに乗せてくれて。


「送る。住所、言って」


言われた通り、嗚咽混じりに住所を告げると、タクシーは走り出した。
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