捨て猫にパン
小走りしてはやっと追いついての繰り返し。


なかなか並んで歩けなくて。


「真琴、足短いんじゃねぇの?」


って、陣は笑うけど。


あたしは追いつかなきゃ、って必死になってその背中を追う。


きっとあの人だったらあたしの右手を掴んで…ううん、ダメ。


あたしは陣と歩かなきゃならない。


だから頑張って走らなきゃ。


息切れして観光どころでもなく、戻ったペンションでは、もうあたしはクタクタ。


頭がボーッとして、少しの吐き気。
< 87 / 127 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop