LAST SMILE







「え・・・」



あんまり静か過ぎて、
中の会話が全部聞こえてしまう。



そんな中、聞こえた言葉に、
あたしははっと顔をあげた。






―バンド、やめるわ―






何?


どうして?



なんでやめなきゃいけないの?




祐兎はあんなに、
あんなにバンドが好きなのに・・・。






「あ、藤堂さん!?」









あたしは走った。



とにかく、逃げたかった。



聞きたくなかったの。




そんな、弱々しい、
祐兎の声を・・・。





夢中で走って、


今どこにいるのか、場所も分らなくなって。




それでも走った。




振り切りたかったの。




この、どうしようもない感情を。






ねぇ、今年最後のライブは成功?





ねぇ。祐兎・・・。







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